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個人で発明する際の特許出願における実用新案技術評価書とは?

コラム 2022.08.17

新たなアイディアを生み出した場合、特許の出願や実用新案の出願が可能です。どちらも似ている申請に感じるかもしれませんが、保護期間や審査の有無が異なります。自分が生み出したアイディアは、従来では存在しないものであれば新規のアイディアとして特許の出願、そうでない場合やスピード感を重視したい場合は実用新案の出願を選びましょう。今回は、個人の特許出願における実用新案技術評価書について解説します。

【目次】
1.特許と実用新案技術評価書の違い
2.個人の発明では特許と実用新案のどちらで出願すべきか
3.実用新案権の手続きの流れ
4.今回のまとめ

特許と実用新案技術評価書の違い

いずれも似ているからどちらで申請しても良いと考えているかもしれませんが、特許は新規アイディアの場合に申請するものです。特許申請においては、新規アイディアしか審査に通りません。申請内容が新規のアイディアかどうか、申請が通ってからの保護期間が長い特許にするか、細かな審査がなくスピード感を持って申請可能な実用新案の出願にするか、アイディアの内容によって申請を使い分けましょう。

個人の発明では特許と実用新案のどちらで出願すべきか

個人のアイディアや企業のアイディアに関係なく、新規性のアイディアかどうか、そして申請に時間がかかっても保護期間の長さを重視したいかを基準に考える必要があります。
特許の出願は、新規性のアイディアでなければ審査に通りません。すでに同じアイディアがある場合は申請に通らないため、まずは自分が発明した内容と同じアイディアや技術、サービスはあるのか調べてみましょう。特許は申請順なので、先に同じアイディアが特許の審査に通っていた場合は実用新案の出願に方向転換する必要があります。

実用新案技の出願は、細かな審査がないまま権利化が承認されるため、特許と比較してもかなり早い段階で権利付与されます。権利か確定まで1年以上と長い時間が必要な特許と比較しても、実用新案の場合は約半年で権利付与されることも少なくありません。
また、特許と実用新案は保護期間が異なります。実用新案の場合は、出願後10年間ですが、特許の場合は出願後20年間と2倍の期間保護されます。ただし、出願の手続きや権利付与までにかかる時間など、特許出願のほうが大変です。特許は出願しただけで自動的に審査されるわけではないので、審査手続きの請求も必須となります。実用新案の場合は出願するだけで、ほとんどの場合権利承認まで進むでしょう。

出願時は特許のほうが大変ですが、権利承認後は実用新案のほうが手間や時間がかかります。実用新案権の場合、実用新案技術評価の請求、審査、その後権利を行使できるのです。そのため、発明した個人や企業はできるだけ特許にて出願したいと考えることが多いかもしれません。

実用新案権の手続きの流れ

実用新案を出願後、権利行使時には実用新案技術評価書を提出しましょう。実用新案を出願、方式審査、基礎的要件審査、設定登録、実用新案権が発生後に実用新案技術評価請求が可能になります。実用新案技術評価書は、実用新案権が発生後でなければ請求できないため注意してください。実用新案の出願や実用新案技術評価書の請求は無料ではないため、手数料などの支払いが必要です。

今回のまとめ

特許と実用新案は似ていますが、保護期間や審査の有無、申請後や利用時の手続きが異なります。申請時に手間がかかるものの審査に通ってしまえばその後の手続きが楽な特許は、審査に通れば保護期間20年と長いため、希望する人は少なくありません。実用新案は出願後権利承認まで約半年と、特許出願時の半分ほどの期間で承認されるため、スピード感を重視したい場合は実用新案がおすすめです。