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個人の試作品製作で押さえておきたいプラスチックの基本的特徴

コラム 2022.07.01

個人で試作品を製造するのに、プラスチックを用いて試作品を製造することが少なくありません。プラスチックには「熱可塑樹脂」と「熱硬化樹脂」の2種類がありますが、それぞれに特性や用途が異なります。それぞれのプラスチックの特性を知って、試作品に適したプラスチックを選びましょう。ここでは、プラスチックの基本的な特徴について解説します。

【目次】
1.個人の試作品製作で用いられるプラスチックには2つのタイプがある
2.軽量で自由に形が形成できるのがプラスチックの特徴
3.絶縁性や耐薬品性が高いこともプラスチックの特徴
4.今回のまとめ

個人の試作品製作で用いられるプラスチックには2つのタイプがある

プラスチックとは、原油や植物繊維を原材料とした合成樹脂のこと。特徴は以下の通りです。
・熱により形を変えることができるので幅広い用途に使える
・軽くて耐久性に優れている
・透明なので色んな色に着色できる
・電気を通さない
水に溶けることなく凝固後には安定した形を保つことができるため、日用品や家電、医療機器や乗り物など幅広く用いられています。
そんなプラスチックは、大きく「熱可塑性樹脂」と「熱硬化性樹脂」の2種類に分けることが可能です。ここからは、それぞれの特徴を見ていきましょう。

熱可塑性樹脂

熱可塑性樹脂とは、熱を加えると柔らかくなる性質を持ち、ポリエチレンやポリプロピレン、ABSなどが該当。なお、熱可塑樹脂は耐熱性や強度によって3つの種類に分かれています。

汎用プラスチック

80%の生産量を誇り、日用品から電化製品、機械部品など幅広い分野にて用いられており、耐熱性は100度未満です。

汎用エンジニアリングプラスチック

耐熱性は100度以上あり、強度や耐久性が必要とされる部品に使用されます。

スーパーエンジニアリングプラスチック

汎用エンジニアリングプラスチックよりもさらに耐熱性が高く、150度以上の熱変形温度です。また強度・耐熱性・耐薬品性にも優れているので、金属の代替部品として使用されています。

熱硬化性樹脂

熱硬化性樹脂は過熱で硬くなる性質で、例えばポリウレタンやエポキシ、メラミンなどが挙げられます。
熱硬化性樹脂には、成型機シリンダに原料を入れて加熱して成形する「射出成形」、原料を加熱室内で加熱し、成形金型に移動させて硬化させる「トランスファー成形」など、6種類の成型方法があります。

軽量で自由に形が形成できるのがプラスチックの特徴

熱可塑樹脂の特徴は熱を加えると柔らかくなり、その後冷却すると固まります。チョコレートの性質がイメージに近いでしょう。成形では工業部品のような複雑な形状にも対応でき、さらにリサイクルが可能となるのです。そのため、現在流通しているプラスチックの約90%に熱可塑樹脂が使用されています。
また「軽さ」もプラスチックの特徴です。1立法センチメートルあたりのプラスチックの比重は、ポリプロピレンであれば1gほど、一方鉄は8gほどとなります。そのため、多くの機器や機材の軽量化を実現しています。自動車の燃費を改善するため、今までの金属部品の代わりにプラスチック部品を採用する企業も増えているのです。

絶縁性や耐薬品性が高いこともプラスチックの特徴

熱硬化性樹脂は熱を加えて成形されますが、一度冷却された後に再び過熱しても柔らかい状態には戻りません。ホットケーキや卵のようなイメージです。
加熱された熱硬化性樹脂は「架橋結合」という強固な構造に代わり、温度による変化を受けにくくなります。また硬化後は耐熱性の向上に加えて、耐薬品性や絶縁性も高まるのです。特に硫酸やアセチレン、アンモニウムなどに高い耐性を持ちます。
そのため熱硬化性樹脂は、成形材料の基材や接着剤、塗料、電子用材料、耐熱材料など、幅広い分野で使用されています。

今回のまとめ

プラスチックには2つの種類があります。熱可塑樹脂は加熱すると柔らかくなるため何度でも成形することができる性質を持ち、熱硬化樹脂は加熱すると固まる性質を持ちます。一方、熱硬化樹脂は再利用できませんが、耐熱性・耐久性・絶縁性に優れている点が特徴です。
材料を選定する際には、高い耐久性や耐熱性を求めないのであれば、使いやすい熱可塑樹脂を選びましょう。

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