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個人発明でも特許法における発明の定義と種類を理解しておく必要があります

コラム 2022.04.25

特許法は、個人で発明を行う方であっても理解しておくことが肝心です。特許について理解しておかないと法に触れたり、トラブルに発展したりする恐れがあるので注意しなければなりません。
本記事では、特許法での発明についてご紹介します。特許法について知りたい方、疑問を抱えている方はぜひ参考にしてください。

【目次】
1.特許法における発明の定義と種類は一般の解釈とは異なる
2.個人発明でも「産業上利用できるもの」であることが必要
3.特許法における発明の種類は3種類ある
4.今回のまとめ

特許法における発明の定義と種類は一般の解釈とは異なる

特許法における発明の定義と種類は、「一般の解釈」と同じではありません。そのため「一般的な発明」がすべて特許になるとは限らず、以下のように一定の要件を満たす必要があります。

・特許法における発明である
特許法における「発明」とは、「自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のもの(特許法2条第1項)」と定義されています。つまり、ゲームのルールや計算法のような取り決めや自然法則以外の法則を用いた発明の場合、特許法では「発明」と見做されません。

・産業における利用性を有している
産業における利用性を有している必要があるので、学術あるいは実験にしか利用できない発明の場合は「発明」として扱われません。この場合の産業とは「工業」や「農業」のような、ものを作り出す部門だけではなく、「サービス業」や「通信業」のような非生産業も含まれます。

・新規性を有している
特許を取得するためには、既存の発明ではいけません。特許出願の前であるにも関わらず、全国民に知られていたり、大勢が利用できていたりする発明は、特許を取得できないとされています。

・進歩性を有している
発明したものの分野において、簡単に発明できたものには特許が付与されません。例えば、既存の発明を合わせただけの発明や、既存の発明の一部を変化させただけの発明などは、進歩性がないとして扱われます。

・先願の発明である
同じ発明の特許申請が2つ以上ある場合、先に申請した方に特許は付与されます。そのため、先に申請されている同じ発明がある場合、特許を取得することはできません。

・公序良俗に反しない
公序良俗に反する発明には、特許が付与されません。公序良俗とは、ある行動が法律に反しない場合でも、社会的妥当性をもたない行動であれば、これに対して法律的効果を与えない民法第90条の規定です。そのため、倫理的に相応しくないものや人間に害を加えるだけの発明は、特許を付与するに値しないとされています。

個人発明でも「産業上利用できるもの」であることが必要

特許を得るためには「産業上利用できるもの」であることが必要です。それは、個人発明であっても変わりません。
そのため、個人だから産業において利用性のあるものでなくても良いという考え方では、特許の取得は難しいでしょう。

特許法における発明の種類は3種類ある

特許法において発明は、以下の3つに分けられています。

・物の発明
産業において使用できる物自体を指します。発明によって生産した目に見える物のことです。「物の発明」には、過去に起きた特許法の改正により追加されたプログラムやソフトウェアも含まれています。

・方法の発明
「方法の発明」での「方法」とは、その方法を用いることに特許が相当します。例としては、記録方法や制御方法などです。
特許で保護されている方法を無許可で使用すると、特許法により罰せられます。

・物を生産する方法の発明
「物を生産する方法の発明」での「物を生産する方法」とは、物を作るときの製造方法や加工方法自体を指します。
ただし、製造方法における特許は、多くの企業や組織が申請を出さないことが少なくありません。特許申請をすると内容が公開されるため、競合他社の参考になってしまうことがその理由です。

今回のまとめ

今回は、特許法での発明についてご紹介しました。特許法では、複数の要件を満たしているものしか「発明」として認められていないため、一般的な発明と誤想しないようにすることが肝心です。
また、特許を取得するためには、個人であっても「産業上の利用価値」を見出せるような発明が不可欠と言えるでしょう。どれだけ素晴らしい発明でも「産業上の利用価値」がなければ、特許を取得できません。発明したものを世の中に普及させるためにも、特許法の理解は怠らないようにするのが賢明です。