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試作品製作を行う際に利用する3Dプリンターで使える金属素材

コラム 2022.03.01

試作品製作を行う際、3Dプリンターを活用することで迅速に製作を行うことができます。この記事では、金属3Dプリンターとその普及についても触れながら、試作品製作時に3Dプリンターで使用できる金属素材について解説します。

【目次】
1.3Dプリンターで試作するメリットとは?
2.金属3Dプリンターとは?
3.3Dプリンターに使用できる金属素材とは?
4.今回のまとめ

3Dプリンターで試作するメリットとは?

開発の手戻りを未然に防止するための試作品製作には、3Dプリンターや切削加工、射出成形などの製作方法があります。なかでも3Dプリンターは、低コスト・短納期であることが魅力です。量産を始めてから製品の欠陥を見つけてしまうと大きな損害になります。そうなる前に、3Dプリンターを活用してお手頃価格で試作品を製作することをおすすめします。

金属3Dプリンターとは?

金属3Dプリンターは、これまで造形が難しかった金属の構造を現実世界で再現できる夢のような機器です。金属粉末を用いた積層技術は、1987年にテキサス大学オースティン校のProfessor Beamanらによって、選択的レーザー焼結(SLS)手法について報告が行われました。その後、1989年にドイツEOS社が、金属粉末を直接レーザーにより溶融焼結(SLS)させる装置や凝固(SLM)させる造形技術を開発しています。
このような多くの人々の研究の成果もあり、金属造形技術は急速に普及しました。さらに近年では、特許の保護期間が終了したこともあり、低価格な装置の開発も進んでいます。

オバマ大統領と3Dプリンターの普及について

3Dプリンターが急激に普及した理由に、オバマ大統領が挙げられます。2013年2月、オバマ大統領は一般教書演説で「アメリカ国内において、かつて閉鎖された倉庫は、今では最新鋭の研究所に変わり、新規雇用した従業員は、私たちの必要とする全てのものに革命をもたらす可能性がある3Dプリンティング技術を体得している」と発言しました。
また、国防省やエネルギー省と協力して、グローバル化から取り残された地域をハイテク産業の世界的な中心地とするために、さらに3つの製造拠点を新設する計画があると発表されています。この演説を受けて、世界中が、3Dプリンターを活用した産業に関心を示しました。

3Dプリンターに使用できる金属素材とは?

3Dプリンターには、AM技術が活用されています。2009年のASTM(旧:米国試験材料協会)規格に準拠すると、製造法は「粉末床溶融結合:Powder bed fusion(PBF)」や「結合材噴射:Binder jetting(BJT)」「指向エネルギー堆積:Directed energy deposition(DED)」「シート積層造形:Sheet lamination(SHL)」「液槽光重合:Vat photo-polymerization(VPP)」「材料押出:Material extrusion(MEM)」「材料噴射:Material jetting(MJT)」の7種類に分類されます。
さらに材料は、金属やセラミックス、樹脂、ゲル、複合材料、バイオ(細胞)などに分けられます。アルファベットからなる3文字は、2017年8月にISO(国際標準化機構)で検討された略称です。これに対して和語は、ISO52900に対応するJIS(日本工業規格)の用語として提案されたものです。
現在、金属3Dプリンターの技術は、DEDとPBFが主流として利用されています。金属3Dプリンターに使用できる金属材料には、チタニウム合金(LaserForm Ti Gr5)やステンレス・スチール合金(EOS StainlessSteel 316L)、マルエージング鋼(EOS MaragingSteel MS1)、コバルト・クローム合金(LaserForm CoCrF75)、アルミニウム合金(EOS Aluminium AlSi10Mg)、ニッケル合金(EOS NickelAlloy IN718)、銅合金(MA-CCR25L)などがあります。かっこ内の表記は、各企業が開発した材料の一例です。その他にも新しい金属材料の開発が進められています。

今回のまとめ

金属3Dプリンターは、積層技術や対応素材によって使用できる金属材料が異なります。また、金属材料は、粉末やフィラメントなど、材料の形状もさまざまです。試作品に求める形状や工数などをよく検討し、最適な金属材料を選定することが大切です。