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試作品製作・発明・商品開発時に利用される3Dプリンターの種類

コラム 2022.02.24

3次元データをもとに立体成形する3Dプリンターは、試作品製作や商品開発の期間を大幅に短縮してくれます。また、発明においても、3Dプリンターを使えば容易にアイデアを具現化できますよね。そんな3Dプリンターにはいくつかの種類があります。
この記事では、試作品製作・発明・商品開発時に利用される3Dプリンターの種類をご紹介します。それぞれどういった用途に向くのかについても解説していますので、この記事を読めば、どの種類を選べばよいのか的確に判断できるようになると思います。

【目次】
1.3Dプリンターが採用する造形方式には複数の種類がある
2.FDM方式(熱溶解積層方式)
3.光造形方式
4.インクジェット方式
5.粉末焼結積層造形方式(SLS方式)
6.今回のまとめ

3Dプリンターが採用する造形方式には複数の種類がある

3Dプリンターとひと口に言っても、家庭用のものもあれば産業用のものもあります。また、デスクに置ける小型サイズのものもあれば、ちょっとした小屋ほどのサイズの大型機もあります。しかし、3Dプリンターを本質的に分類する要素は、その造形方式であるといえるでしょう。3Dプリンターが立体的な物を造形する方式は一つではないのです。次章から、主要な各方式について説明していきます。

FDM方式(熱溶解積層方式)

3Dプリンターの造形方式の主流といえるのがFDM方式です。産業用途のモデルにも家庭向けモデルにも広く採用されていますが、特に家庭向けの低価格製品のほとんどでこの方式が使われています。熱して溶かした熱可塑性樹脂をノズルから押し出して、なぞるようにし積み重ねて造形します。

FDM方式が向くケース

材料を選べば高強度な造形物も製作できるため、強度の必要な治具などの製作に適します。

FDM方式が向かないケース

喩えるならば縄文式土器のように細い紐状の樹脂を積み上げていく手法ですので、層の段差がどうしても目立ちます。そのため、表面の滑らかさを重視する場合には向きません。

光造形方式

光造形方式では、光硬化性の液状樹脂に紫外線を当てて固め、積層・造形します。産業用途のモデルでは特によく採用されている方式です。同方式は次の2種類に分類されます。

SLA方式

紫外線をレーザービーム状に照射して、積層・造形します。

SLA方式が向くケース

点照射ですので、複雑な形状であっても高精度で出力可能です。そのため、精緻なつくりの造形物、表面に平滑さが求められる造形物の製作に適しています。

SLA方式が向かないケース

細いレーザービーム状での照射による造形のため、造形速度は遅め。スピード重視の場合には向きません。また、同方式で製作した造形物は紫外線により硬化・劣化するため、太陽光に長時間さらされる物には適しません。

DPL方式

プロジェクターを通して紫外線を下部から面状に照射して、積層・造形します。

DPL方式が向くケース

面で一気に露光させる方式のため、短時間での造形が可能です。スピードが求められるケースに向いています。

DPL方式が向かないケース

レンズを通した光線を面状に当てる方式のため、照射範囲が広くなると解像度が低くなって精度が落ちます。サイズの大きな物にはあまり適さないといえるでしょう。また、SLA方式同様に、この方式で製作された造形物は紫外線により硬化・劣化するため、耐久性が求められる場合には向きません。

インクジェット方式

液状樹脂またはバインダー(結合剤)を噴霧したものを紫外線で固めて積層・造形する方式です。次の2種類に分類されます。

マテリアルジェッティング方式

光硬化性の液状樹脂を噴霧して固めます。

マテリアルジェッティング方式が向くケース

高精度な造形が可能で、上位機種では複数の材料を混ぜて使えたりフルカラー造形ができたりします。そのため、最終完成品のイメージを忠実に再現したい場合に向いています。

マテリアルジェッティング方式が向かないケース

光造形方式同様に紫外線による劣化がありますので、耐久性重視の場合には向きません。

バインダージェッティング方式

材料そのものではなくバインダー(結合剤)を噴霧して固めます。

バインダージェッティング方式が向くケース

粉末状のバインダーは着色可能なため、フルカラー造形を求める場合に向いています。

バインダージェッティング方式が向かないケース

粉末を固めて造形するため、表面にざらつきが出ます。平滑な表面仕上がりを望む場合には向きません。また、マテリアルジェッティング方式同様に、耐久性重視の場合にも向きません。

粉末焼結積層造形方式(SLS方式)

粉末状の材料を敷き詰めたところにレーザーを照射して焼き固める方式です。

粉末焼結積層造形方式が向くケース

金属にも対応します。金属材料を使う場合には鍛造レベルの強度を得られ、鋳型など金属製品の造形に特に適しています。

粉末焼結積層造形方式が向かないケース

粉末を焼き固める方式のため、表面がざらつきます。平滑な表面仕上がりを望む場合には向きません。また、設備導入費やランニングコストが高くつく傾向ですので、予算が限られている場合には難しいでしょう。

今回のまとめ

上記でご紹介したもの以外にも新たな造形方式が続々と生まれつつあります。さらに進化する3Dプリンターは、商品開発を誰でも手の届くものにしてくれます。「アイデアをカタチにしたい!」と思ったら、ハツメイトにぜひご相談ください。