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特許法におけるカテゴリー「物」の発明と「方法」の発明のちがいとは

コラム 2022.10.24

日本の特許法では、「発明」を大きく2つのカテゴリーに分類しています。それが、「物」の発明と「方法」の発明です。それぞれ効果やルールが大きく異なるので、違いを理解しておかなければなりません。
この記事では、「物」の発明と「方法」の発明の違いと、生産する「方法」の発明でできた成果物も特許法の保護対象になるのか解説します。

【目次】
1.有体物やプログラム等を対象とする「物」は時間の経過を含まない
2.「方法」の発明は時間の経過の要素を含む
3.生産する「方法」の発明でできた成果物も特許法の保護対象になる
4.今回のまとめ

有体物やプログラム等を対象とする「物」は時間の経過を含まない

「物」の発明における実施行為は、以下の通りです。
・その物を生産、製造する行為
・使用する行為
・譲渡する行為
・貸し出す行為
・輸出入する行為
・その物についての譲渡などの申し出をする行為
装置や機器、物質などの有体物やプログラムなどの無体物なども物に含まれます。ただし、「物」の発明は時間の経過を含みません。
特許権者が権利を専有しているため、第三者が特許発明品を製造や販売などをしている場合は、特許権侵害であると警告書を送ることが可能です。さらに、製造や販売の差し止めを要求する差止請求訴訟や、損害賠償請求訴訟を提起できます。
物の発明の場合、遅かれ早かれ他社が開発をしてしまう危険性があるので、一日でも早く特許を出願することをおすすめします。

「方法」の発明は時間の経過の要素を含む

「方法」の発明は、時間の経過を含む発明です。「単純方法の発明」とも呼ばれています。時間の経過の有無については、特許出願の範囲の形式的な記載で判断されるものではありません。方法の使用をする行為が実施行為なため、「物」の発明と比べ、侵害行為を検知したり立証したりするのが困難で、保護の実効性としては「物」の発明に及びません。

ビジネス方法の発明

現在、ビジネス方法の発明は、自然法則を利用した技術的思想の創作物ではないとして発明性が認められていません。そのため、今までにない新しいビジネスの方法を考えついたとしても特許は取得できないので、注意が必要です。
では、どのような場合にビジネス方法の特許は認められるのでしょうか。ビジネスモデル特許は、ビジネス方法に関する特許を意味しますが、一般的にコンピュータ装置やインターネットを活用して、新しいビジネスモデルを実現した物を指します。ビジネスモデル特許として有名なものとしては、アマゾン社のワンクリック特許などが挙げられます。
ビジネスモデル特許として認めてもらうためには、以下の4つの条件を満たさなければなりません。
・特許法の条件を満たしている
・発明である
・新規制がある
・進歩性がある

生産する「方法」の発明でできた成果物も特許法の保護対象になる

物を生産する方法そのものの発明は、物の発明とは異なります。生産方法の発明は成果物にも保護が及ぶことに注意が必要。つまり、生産方法の発明で生産された物は、物の発明と同様の保護が及ぶため、安心して物を生産できるのです。生産する方法を利用した形跡が残っている場合、市場で販売されている物を分析することで、特許発明されているかどうか判断できます。
生産する方法を利用した形跡が残っていなくても、大量に市場に出回る予定がなかった物が出回っていたら、特許取得した物を生産する方法が勝手に利用されていると考えられます。

今回のまとめ

発明のカテゴリーによって、権利保護の実用性に強弱があるため注意が必要です。また、発明のカテゴリーは発明の種類によっても異なってくるので、特許出願時に困った場合は、専門家へ相談することをおすすめします。