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試作品製作を行う際に利用する3Dプリンターで使える樹脂素材
2022年、「ものづくり」の形も大きく変わろうとしています。その理由の1つに3Dプリンターの躍進が挙げられます。この記事では、3Dプリンターを活用した造形までの流れと樹脂3Dプリンターに使用できる樹脂素材について解説します。
【目次】
1.3Dデータの作成と造形までの方法
2.樹脂3Dプリンターとは?
3.3Dプリンターに使用できる樹脂素材とは?
4.今回のまとめ
3Dデータの作成と造形までの方法
ここでは、3Dプリンターを活用して試作品を造形するまでの流れを解説します。なお、今回の記事では一般的に多く使用されているSTLデータをもとに解説を行います。
はじめに、3Dデータを作成し、次にSTL(Stereolithography)データの出力と修正、編集を行います。そして、STLデータをツールパスデータに変換します。最後に、ツールパスデータを3Dプリンターに読み込ませて造形します。なお、データの種類はデータの作成方法によって異なります。
樹脂3Dプリンターとは?
樹脂3Dプリンターは、工業分野以外でも医療分野、生物分野など、さまざまな専門分野で活用されている3次元モデルを造形する機器です。積層造形技術は、AM(Additive Manufacturing:付加製造)と呼ばれており、いくつかの分類があります。樹脂材料を対象とした場合は、造形方法で分類されることが多く「光造形法:Stereolithography(SLA)」「粉末焼結式積層法:Selective Laser Sintering(SLS)」「インクジェット法:Ink jet Printing」「熱溶解積層法:Fused deposition Modeling(FDM)」に分けられます。
3Dプリンターに使用できる樹脂素材とは?
近年は、FDM方式が主に使用されており、SLS方式を含めて、樹脂3Dプリンターでは、熱可塑性樹脂が多く利用されています。主に利用される熱可塑性樹脂には、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)、ポリアミド(PA)、ポリスチレン(PS)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ塩化ビニル(PVC)などがあります。例えばABS樹脂は、剛性や疲労強度などの機械的特性のバランスがよく、表面を紙やすりで研磨すれば、塗装も行えるといった利点があります。
そして、ナイロン(ポリアミド)系は、靭性や耐摩耗性、耐衝撃性などの機械的特性が高く、強度があり、柔軟性も兼ね備えています。多く使用されているナイロンは、ナイロン6、11、12です。樹脂3Dプリンターの素材は、特に複数の高分子ポリマーを混合、改質したポリマーアロイと呼ばれるプラスチックが開発されています。
ポリマーアロイの例としてPC-ABS(ポリカーボネートとABS樹脂の混合)樹脂が挙げられます。この樹脂は、耐衝撃性や耐候性などが高く、ポリカーボネートとABS樹脂の特性を兼ね備えているため、自動車の内装部品から事務機器まで幅広く使用されています。
今回のまとめ
樹脂3Dプリンターにはさまざまな積層方式があり、この記事で紹介した造形方法以外にも新しい技術が開発されています。また、積層方式によっては、造形物の保持材が必要になることがあります。適切な設計を検討するためにも3Dプリンターをどのように活用したいのかを明確にすることが重要です。