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個人の発明でポイントになってくる新規性と進捗性の違いや事例

コラム 2022.06.21

新しい商品や技術を開発した際に特許を取得しておくと、技術が保護され市場で優位に立てるだけでなく、ライセンス契約を結んで使用料を受け取れるようになります。特許取得には特許出願が必要ですが、出願するにあたって新規性と進捗性の理解が必要です。
ここでは、個人の発明でポイントとなる新規性と進捗性について詳しく解説します。

【目次】
1. 発明が客観的に新しいことを指す新規性
2. 発明が特許を受けるためのカギは新規性と進捗性
3. 進捗性がないものと判断される事例
4. 今回のまとめ

発明が客観的に新しいことを指す新規性

特許を取得するために求められるのが「新規性」です。ここでは、「新規性」の意味や「新規性」と認められない具体例、新規性喪失の例外規定についてご説明します。

新規性とはなにか

新規性は文字どおり新しいことですが、あくまでも客観的に見て新しいことがポイントになります。

新規性とならない具体例

特許法第29条第1項では、次の3つの発明は新規性がないとしています。
・日本国内および外国で公然知られている発明
・日本国内および外国で公然と実施されている発明
・日本国内および外国で、刊行物またはインターネットで既に公開されている発明

新規性喪失の例外規定

新規性は例外規定があり、特許法第30条第1項および第2項で、発明を発表した1年以内であれば出願できるとしています。ただし、その間に第3者が出願すれば新規性は失われるのです。

発明が特許を受けるためのカギは新規性と進捗性

特許を受ける際にカギとなるものには、前項でご説明した「新規性」に加え「進捗性」が必要です。ここでは「進捗性」について解説します。

進捗性とは

特許法第29条第2項では、例え新規性があっても、各分野の専門家が従来技術を使って簡単に発明したものは特許を取得できないと定めています。特許法には「進捗性」という言葉は使われていませんが、この「従来技術を使って簡単に発明したもの」が「進捗性がないもの」です。「進捗性」は、「困難性」と言い換えることができます。

進捗性の判断基準

進歩性があると判断されるためには、従来の発明品と同一でないことだけでは不十分です。さらに、非同一性の程度がある程度認められなければ、進捗性があると判断されることはありません。

進捗性がないものと判断される事例

進捗性は意味が曖昧な点もあり、出願する方のなかには進捗性が認められるか不安な方も多いのではないでしょうか。ここでは、進捗性がないものと判断される事例を2つご紹介します。

寄せ集めの発明

寄せ集めの発明とは従来の技術や商品を組み合わせて、新しい技術や商品を作り出すことです。この発明方法は昔から行われていることで、この方法自体が否定されることはありません。ただし、組み合わせたにもかかわらず、各々が持つ効果以上の効果が確認されない場合は進捗性がないものと判断されます。反対に、効果が予測不可能だったり阻害要因があったりすれば、進捗性がある判断される可能性も高いです。

転用や変更が容易なもの

他の技術者が従来技術の転用ができたり、素材や設計を変更できたりするのが可能で、容易に効果を予測できる場合は進捗性がないものと判断されます。

今回のまとめ

個人が発明品を完成させても、「新規性」と「進捗性」があり特許が所得できるか判断するのは難しいことです。とりあえず出願してみるという考えもありますが、特許の審査を受けるためには数カ月待たなくてはいけないので、「新規性」と「進捗性」が認められるまで完成度を上げてから出願することをおすすめします。不安な方は、弁理士に相談しながら出願の準備を進めること検討すると良いでしょう。

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