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個人向け3Dプリンターと業務用3Dプリンターの違い

コラム 2022.02.23

3Dプリンターは個人向けと業務用の2種類に分類されますが、行う作業としては同一です。では、個人向けモデルと業務用モデルとではどういった点が異なってくるのでしょうか。本記事では個人向け3Dプリンターと業務用3Dプリンターがどのように異なるのか、具体的にどういった違いがあるかについてご紹介します。個人向けモデルでも問題ないか、それとも業務用モデルでなければ望むような造形ができないかを判断する際のご参考としていただければ幸いです。

【目次】
1.個人向けと業務用の違い
2.【具体例】個人向けと業務用の違い
3.今回のまとめ

個人向けと業務用の違い

同じ3Dプリンターであっても、個人向けモデルと業務用モデルには歴然とした違いがあります。

ひと言で言えば性能が違う

ひと言にまとめるならば、個人向けと業務用とでは性能が異なります。個人向けモデルは家庭などで小規模に(多くの場合趣味レベルで)製作することを想定した仕様となっており、自ずと限界があります。一方、業務用モデルはビジネスレベルの成果物を実現できるだけの性能を備えています。

結果として価格が違ってくる

個人向け3Dプリンターであれ業務用3Dプリンターであれ、それぞれの分類の中でミドルクラス、ハイクラスといった分布はあります。しかし、平たくいえば、個人向け3Dプリンターはエントリーモデル、業務用3Dプリンターはハイエンドモデルです。3Dプリンターに限らず、さまざまな機能を搭載したハイエンドモデルはシンプルなエントリーモデルよりも高額であることが通常。個人向けモデルの場合、廉価なものでは数万円からあるのに比べ、高性能な業務用モデルは数百万円から数千万円が中心価格帯となります。

【具体例】個人向けと業務用の違い

個人向け3Dプリンターと業務用3Dプリンターの違いはその性能であると述べましたが、具体的にどういった点での性能差があるのかを見ていきましょう。

寸法精度の高さ

業務用3Dプリンターでは、個人向け3Dプリンターで製作する造形物よりも高い寸法精度を持った造形物ができあがります。業務用モデルのヘッド動作は、個人向けモデルよりも高精度なため、正確な造形が可能だからです。また、業務用モデルには高度なコントロール技術が搭載されており、熱収縮率に対策する温度制御や光硬化制御が可能なため、造形物に反りや歪みが生じにくく、個人向けモデルよりも変形が抑えられます。

使用可能な材料の幅

個人向けモデルと業務用モデルとでは、使える材料の種類の数が異なってきます。個人向け3Dプリンターの場合、使用できる材料は主にPLA樹脂(ポリ乳酸)やABS樹脂に限られがちです。業務用3Dプリンターであれば、ゴムライク樹脂、スーパーエンジニアリングプラスチック、ポリカーボネート、ワックスなどの各種材料に対応する豊富な機種が見つかります。

対応可能な造形方式の種類

個人向け3Dプリンターの多くが採用している造形方式は、熱可塑性樹脂を溶かして成形する「熱溶解積層方式(FDM方式)」と、光硬化性の液状樹脂に紫外線を当てて積層していく「光造形方式」です。
業務用3Dプリンターには、そのほかにも、ナイロン粉末を焼き固めて造形する「粉末焼結方式」、光硬化性樹脂あるいはバインダー(結合剤)を噴霧して固める「インクジェット方式」、石膏粉末を積層する「粉末固着方式」があります。そのため、製作量や設置場所、造形物に求められる強度、色表現の自由度や造形物の複雑さなどによって最適な方式の3Dプリンターを選べます。

水溶性サポート材対応の普及度

空洞部分やブリッジ部分などの造形に支えとして必要となるサポート材は、完成後の除去に手間がかかります。水に溶ける水溶性のサポート材が使えれば楽ですが、そのためにはメインの材料とサポート材の2種類を同時に積層可能なデュアルヘッド(2本のノズルを搭載)仕様でなくてはなりません。業務用3Dプリンターはデュアルヘッドである場合が多いですが、個人向けモデルには少ないです。

大きなサイズの造形物への対応可否

主に家庭での使用を想定している個人向け3Dプリンターの場合、置き場所に困らないコンパクトな筐体であることが前提です。
一方、業務用3Dプリンターであれば、デスクトップに置けるタイプのものから工場に設置するような大型機まで幅広く揃っています。ゆとりのある庫内空間を必要とする大きな造形物は、業務用のモデルでなければ対応できないということです。

今回のまとめ

試作品を、場合によっては完成品を、圧倒的短時間のうちに製作できる3Dプリンターは、商品開発にも革命をもたらしたといえるでしょう。そして今や、個人向けの手頃な機種でもそれなりの品質の造形物を製作できる時代となりました。しかし、個人向けモデルと業務用モデルとではやはり違いがあります。違いを理解した上で、必要な性能を備えた最適な機種を選びたいですね。