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発明・商品開発時に取得する特許の審査基準

コラム 2022.02.07

発明や考案を行ったり、商品を開発したりした時には、 特許を出願することで技術を保護できるようになります。特許が認められるためには、定められた審査基準をクリアする必要があります。審査基準とは、具体的にどのような内容が定められているのでしょうか。特許出願する前に知っておきたい審査基準を、今回の記事で解説します。

【目次】 
1.特許の審査基準とは
2.新規性の判断基準とは
3.進歩性の判断基準とは
4.今回のまとめ

特許の審査基準とは

特許における審査基準とは、特許出願の審査を公平・妥当かつ効率的に行うために、法律を適用させる際の基本的な考え方をまとめたものです。「審査における判断基準」 と「特許管理等の指標」に分けられます。特許権を取得するには、主に新規性と進歩性が重視されており、この2つの判断基準を十分理解することが、特許権取得への第一歩となります。

新規性の判断基準とは

新規性とは、特許を出願する時点で、新しい発明であることを意味します。特許制度の目的が、新しい発明に対して独占権を与える為なので、出願よりも前に発表されている発明では特許権の意味をなさなくなってしまうのです。 これにより、既に公然に知られている・もしくは公然で実施されている、書物などに記載されている、インターネットなどで公開されているなどに該当する発明は、新規性に欠けるため、特許は認められません。
例を挙げると、新しい形式のカバンを発明し、特許出願したところ、すでに同じ形式のカバンがある場合は、新規性がないため特許は認められません。
一方で、特許出願した時点で、同じ形式のカバンがまだ世間に発表されていなければ、新規性があると見なされるのです。また、形式が全く異なるカバンであれば、どちらの新規性も認められます。

進歩性の判断基準とは

進歩性とは、今までにあった技術から、専門家であっても簡単に思いつかなかったものを意味します。つまり、簡単に思いつくような発明であると、特許権は認められません。進歩性の判断は大変難しいとされており、特許の判断において最も困難なポイントです。
特許庁における審査基準では、統一した判断を下すために、判断方法を定めています。この判断方法は、論理づけができるかどうかを重視したものであり、結論に対して論理づけができたものは進歩性がなく、論理づけができないものは進歩性があると判断されます。論理づけの際に実際行われるのが、引用文献と対比させた判断です。
進歩性を主張するためには、出願時に提出する明細書に、変形例や応用例なども併せて、できるだけ具体的に記載することが重要です。新規性にも言えることですが、特許出願を行う発明が、単純なものかそうでないかという点は、特許権取得には関係していません。これまでに発表されている技術との関係性が深く関係しているのです。

今回のまとめ

今回は、 新規性や進歩性の観点から、 特許の審査基準を解説してきました。ただし、特許権の取得要件は、この2つ以外にも複数あるため、すべての取得要件を満たせるように出願手続きを行いましょう。従来の技術に比べ、少しでも新しい点や優れている点があれば、特許権取得を積極的に検討されることをお勧めします。